(お手紙の原文)
会社で倒れた私は病院に運びこまれました。診断は脳腫瘍。そしてこう言われました。「脳の中に大きな腫瘍があり、左の脳がはれている。細胞を実際にとってみないと断言できませんが、これは決して良いものではありません。」
つまり悪性に極めて近いというわけです。
実はこの時、私以外の人には知らされていましたが、私の命は「あと1年半くらい。」と宣告されていたのです。私は脳腫瘍だと宣告された時、自分のまわりの壁がガラガラと音をたててくずれていくのを感じ、立っているのがやっとでした。
脳腫瘍といえば死に至るか、重大な障害が残るという印象しかありません。私は全身の力がぬけていくのを感じました。そしてベッドの上で両親に「U先生(カイロプラティックの先生)と佐藤先生に連絡してくれ。」というのが精いっぱいでした。
何日かしてU先生がご夫婦で病院にかけつけてくださり、「まな板の上のコイになったつもりになって開き直りなさい。でもあなたからは悪い気がこないから、医者が首をかしげる結果になるのではないかしら。」とはげましてくれました。
その数日後、佐藤先生が来てくださいました。(偶然にもその日は病院近くで講演会があった。)私は先生が来てくださるのが楽しみで、日を1日まちがえて、前日の夕方、病院の正面玄関で寝巻のまま1時間以上も待っていました。
その佐藤先生は、私にものすごい勢いでこう言われました。
「まず治るんだと100%確信しなさい。99、9%ではダメです。0、1パーセントでも疑いの心があってはダメです。それから、自分の心に明かりを灯しなさい。普通の人は心が明るくなったり暗くなったりしているが、常に心に明かりを灯すんだ。明るさと暗さは同居できないからね。そして親子は一体だから両親ともども今言ったことを実行してください。」
今まで本などで「確信すれば実現する」ということは何となく知っていましたが、脳腫瘍と宣言された今、治ると確信できるでしょうか。
しかし、佐藤先生の言葉は、そんな弱い心をはねのけてしまう力を持っていました。その日、佐藤先生と別れた瞬間から実行です。
そして、大きな病院に移って1週間後、細胞の一部を採取する手術が行われました。そこは、脳外科に関しては全国に有名なところですがその病院でもCTの写真を見た段階では同じ診断でした。
ところが細胞を分析したところ、なんと良性だったのです。病院の先生も「良性の腫瘍でこんな大きいものは初めて見ました。」と驚いていました。
その後、放射線治療が始まり、前半は弱く全体に、後半はターゲットをしぼって強くあてるというスケジュールで行われました。治療が始まったばかりのころ、また偶然に病院のある市内で佐藤先生の講演があり、再び病院に来てくださいました。
そして先生はこうおっしゃいました。「自分の心に明かりが灯せたら、今度は周りの人にも灯してあげなさい。そしてすべてに感謝してごらん。主治医の先生にも看護師さんにも、まわりの人にも、そして病気に、ほんとうの自分に、宇宙に、感謝してごらん。人間は宇宙の一部なのだから」
この話を目の前で聞いている時の私の心境は異常でした。
どんどん深い感謝の念が湧いてくるのです。これは健康な時、幸せな時には絶対にできない感謝。絶対にこの心境を忘れないようにしようと思うほどでした。
佐藤先生は帰り際、「良性になったくらいで喜んでいてはダメだよ。自分で消さなきゃ。」と言って次の講演に行かれました。
その後の再検査でも腫瘍はきれいに消えていることがわかりました。私は、この二ヶ月半の入院中の出来事を偶然が重なって幸運だったのだといわれてしまえばそれまでですが、自分の心の奥で何か大切なことを学ばせていただいたような気がしてなりません。
感謝
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